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上級編

距離と戦型

 戦型(スタイル)において、どの位置で構えて、どの技法を主に使用するかによって様々な戦い方があることはご紹介しましたが、何がどう変わるのか、ここでは多少比較する形で見てみようと思います。

 まずは下図をご覧下さい。


 図の左からそれぞれ、向かって卓球台の左隅、中央、右隅から送球された場合にボールが飛んでくる範囲を大雑把に示したものです。図では最大でも卓球台の角までの範囲なので、もっとネット寄りにボールを落としたり、外側に曲がる横回転が掛かっていたりすることを考えると、図より範囲は広くなります。
 上図から、卓球台の(イ)より(ロ)、(ロ)より(ハ)と、卓球台から離れれば離れるほど、相手からの返球に対応して動く範囲が広くなっているのがわかると思います。つまり、卓球台に近ければ近いほど、横へ大きく動かずに済むということになります。

 では、(イ)の位置がいいかというと、一概にそうとも言い切れません。卓球台に近ければ近いほど、相手からの打球を返球する時間が短くなるためです。相手の体勢を整える時間を少なくするという利点がある反面、自分も体勢を整える時間が少なくなります。そのため、相応の瞬発力が必要となります。
 この瞬発力で勝負をするのが、この(イ)の位置、『前陣』で戦う前陣速攻型と言われるスタイルになります。
 前陣速攻型は文字通り、前陣で構えて相手に考えたり体勢を整えたりする時間を与えず、短時間で勝負を決するスタイルです。

 (イ)が『前陣』ということは、(ロ)が『中陣』で(ハ)が『後陣』ということになりますが、目安としては『前陣』は台からおよそ1m程度まで、『中陣』はだいたい大股で台から2歩程度、距離にして2〜3m程度まで、『後陣』は更に後ろ、というような感じで考えていただいていいと思います。

 『中陣』である(ロ)の位置で戦った場合、程よく体勢を整える時間ができ、返球しやすくなります。ただし、相手も体勢を整える時間が出来ているということなので、『前陣』での攻撃よりも強い回転をかけたボールや、速いボールを送って攻撃する必要性が出てきます。
 そこで、この位置で強力な前進回転(ドライブ)を用いて戦うのが中陣ドライブ型、戦型(スタイル)で言うところのドライブ型になります。
 ただ、戦型(スタイル)でも少し触れましたが、現在ではドライブ型も前陣寄りで構える傾向があり、前陣速攻型とドライブ型の明確な境界がなくなってきているようです。

 さて、残る(ハ)の位置で戦う場合、他に比べて体勢を整える時間と回転を見極める時間はありますが、守備範囲が大変広くなります。これは(イ)と(ロ)の位置でも言えることなのですが、左右だけでなく、立ち位置よりも前方は全て、例外なく守備範囲です。

 その守備範囲が最も広いのが『後陣』である(ハ)です。(ハ)の位置では前後左右の移動幅が最も広いため、他の位置と比べ、より体力を必要とします。
 また、卓球台までの距離があるため、相手のボールをドライブで返球しても、低めのドライブでは届きにくく、高めのドライブでは相手にとって打ちやすいボールになりかねません。
 そこで、回転の特性上、滞空時間が長いためにボールが落ちずに飛んでいく後退回転(カット)を使うカット型がこの位置を主として戦います。
 相手からのドライブは強力であればあるほどラケットに当たったときの反発力が強いので、それだけ高く、遠くに飛びます。そういったボールを打ち返すのに、卓球台までの距離があるこの『後陣』という位置は適していると言えます。

 あと戦型(スタイル)で残っているのはショート型ですが、これも『前陣』である(イ)の位置を主として戦うことが多いようです。前陣速攻型と違うのは、ショート型では片面に粒高ラバーなどの変化系ラバーを貼って相手のミスを誘う、やや守備的な攻撃が主となることです。
 変化を主として戦う場合、相手にボールの回転を見極めさせる時間を与えてはいけないため、自然と前陣が適した位置となるようです。

 ここまでで注意しなければならないのは、反射神経に関しては距離はあまり関係ないということです。
 卓球台に近ければ返球も早いので、咄嗟に判断する反射神経が必要なのはわかると思いますが、卓球台から離れたとしても、離れた分だけ守備範囲が広くなるので、やはり早めに動くことが必要になるからです。「鈍いから後陣にしよう」というような考え方はあまり通用しないので、ご注意ください。

 前陣速攻型とかカット型とか、いろいろな名前が付いているので混乱するかもしれませんが、突き詰めてしまえば、

『前陣』『中陣』『後陣』



『積極的に攻撃する』『相手のミスを誘う』

ことを主として戦う

という感じになります。非常に極端な分け方ですが、この6通りが基礎と考えても構わないと思います。
 ただ、一つ注意しなければならないのは、各距離、各攻撃方法を『主として』戦うだけであり、他の距離や他の打法を使わないということではありません。「中陣ドライブ型だから、カットは無い」なんていうことはありません。間違えないようにしましょう。

 距離は戦略です。それぞれの距離に利点と欠点が存在します。それらをきちんと理解し、自分の身体能力や得意な打法なども考慮に入れて、自分に合った戦型を作り上げ、磨き上げていってください。


 [ 蛇足な補足 ]
 最後に、ラケットの選択まで含めた場合、どれくらい選択肢が広がるのか計算してみましょう。
 “ラケットの種類 × 距離 × 攻め方” なので、
  シェーク
  日本式ペン
  中国式ペン
  ハンドソウ
× 前陣
中陣
後陣
× 積極的に攻撃
ミスを誘発させる
24通り
 シェークを攻撃用とカット用に分ければ30通り。大雑把に分けてもこれだけの数ですから、細かく分けると大変なことになりますね。


 反復練習方法
 ・ 距離と戦型
 位置と戦略
 会“芯”の一撃




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